岩手大学 三陸水産研究センター長
平井 俊朗 (HIRAI Toshiaki)


 2019年4月にセンター長を拝命して、はや8年目になろうとしております。

 当センターは、2012年度に文部科学省「SANRIKU(三陸)水産教育研究拠点推進事業」のご支援を受けて、東日本大震災により未曾有宇の被害を受けた岩手県沿岸地域の復旧・復興支援の拠点として釜石サテライト内に設置されました。その後、2016年度には農学部食料生産環境学科・水産システム学コース、2017年度には大学院総合科学研究科(修士課程)地域創生専攻・水産業革新プログラムが設置され、地域水産業の未来を担う人材育成が始動し、当センターは、それまでの地域復興支援機能に加えて、同コースの学生達の「現場体験に基づいた実践的教育研究の場」として新たなスタートを切りました。その後、2017年に釜石サテライトは「釜石キャンパス」と改称され、本学第二のキャンパスとして、地域との連携に主眼を置いた教育研究の場となることを目指して参りました。

 2025年度までに釜石キャンパスは学部生7期86名、大学院修士課程8期8名を輩出し、このうち20名が岩手県内、10名が沿岸地域に就職しています。これは、釜石キャンパスが輩出した学生の21%になり、地域の未来を支える人材育成に一定の貢献はできたと考えております。さらに釜石キャンパスでは、水産システム学コースの教育研究とともに学生達が中心となり地域の皆様と様々な交流活動を展開して参りました。養殖サクラマス新メニュー開発・学食提供、小学校等での出前授業、ミニ水族館・タッチプール活動、未利用魚販売活動など、学生達にとっても他ではなかなか得ることが出来ない「現場での実体験」を通した実践力の醸成につながってきました。

 さて、本学は2025年度に教育体制の再編を行い、水産システム学コースは畜産業を主要分野とする動物科学コースと共に動物科学・水産科学科に再編されることとなりました。この改組では学部・学科・コースの枠を超えて学生一人一人が目指す将来に向けて「多様な学び」を選択出来るようになりました。その中で当センターは全学教育研究施設として、水産・海洋関連の教育研究に関心を持つ学生諸君や教職員の皆様に、より多様な視点から沿岸地域をフィールドとした活動の場を提供していきたいと考えています。また、これまで課外活動であった学生達による地域連携活動を教育プログラムの一部として位置づけ、さらなる実践力醸成とともに、海洋環境変動対応など地域水産業が抱える課題の解決に寄与できるよう努力して参ります。